この本が純粋な恋愛小説だったら、おもいっきり泣けたのに。
少し前になるのですが、以前からずっと読みたかった「マイクロソフトへの挑戦」を読みました。この本はいまはもう手に入らなくて、僕は図書館へ行った際に発見して読みました。アメリカで発売された原書の方でもいいから手に入れたいと思いましたが、残念ながらそっちも無い様子。
読み終えた直後、ものすごく複雑な心境になりました。Netscape を生み出したエンジニアたちの熱い思い。そしていまはもうこの世から無くなった Netscapeという組織。泣きたい。でも泣けない。
この本の本編では、AOL による Netscape 買収の直前までしか書かれていません。訳者の後書きにて、買収前後の動きが記されているのみです。それからさらに時間が経ち、Netscape という組織が無くなったいま、言いようのない悲しみが僕の中にあります。
主要メンバーが次々と立ち去る姿や、テクノロジー主体であったベンチャーが官僚的な組織へと飲み込まれていく姿には、胸が締め付けられる思いがしました。
しかし、Netscape が最後に世界に放り投げた種は、いま確実に世界を変えようとしていると僕は感じています。彼らが残した種、Mozilla.org として。Mozilla がリリースした Firefox が世の中へ与えたインパクトは、みなさんもご存知かと思います。
Netscape を消し去るために、Microsoft がその独占的なビジネスモデルの上に行ったえげつない手法の数々も、独占禁止法裁判の流れを見た限りでは、Bill Gates もまた、エンジニアとしての気質を持った人物であったということを改めて僕に感じさせるに過ぎませんでした。この点においても、複雑な心境です。
Microsoft の独占など関係ない。モノポリーが問題になるのならば、Google だってこの先どうなるかわからない。Netscape は単にビジネスにおいて敗北したんだ。後に第一次ブラウザ戦争と呼ばれるこの戦いに関しては、いまも様々な見解が存在すると思います。
でも、そんなことは関係ない。僕はただ、Netscape を作り上げたあのオタク達が、本当に本当に大好きです。伝説の3日シフトや1週間デスクから離れない生活、昼間のわずかな睡眠・・・。彼らには、それほどまでにのめり込めるものが、愛するものがあるのです。
思えば、僕がベンチャービジネスというものに興味を持ったのは、Netscape 創業時のインタビュー映像をはじめてみたときでした。当時(たぶん)小学生だった僕は、あのラジコンが走り回る自由な社風、机の下の床で寝るオタク達の集まりに、大きな衝撃を受けたのを覚えています。あのイメージはまさに、いまの Google そのものです。
この本は、愛し合う恋人同士が片方の死によって離ればなれになってしまうという恋愛小説のようです。エンジニア達と、彼らが生み出したソフトウェアは、最後には結ばれることなく、悲劇的な別れ方をしてしまいました。
でも、彼女はいまも生き続けています。心の中にではなく、Firefox として。
世界を変えてしまったオタクたちのストーリーは、いつ見ても心に響きます。Linus とか、Jobs & Woz とか。
当時の Mark Andreessen といまの自分は、年齢が同じです。そういう意味でも、この本から受けた刺激は読む前の想像を超えていました。
ありがとう、Netscape。僕も、そして messaliberty も、まだまだこんなところで立ち止まるわけにはいかない。
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